食物アレルギーの理解と緊急時対応
アナフィラキシーは、発症からわずか数分で生命を脅かすことがあります。「どうしよう…」と迷っている時間はありません。この記事は、子どもの命を救うための実践的なシミュレーションです。誤食を防ぐ日々の徹底事項から、危険なSOSサインの見分け方、そして迷わず動くための緊急時対応フローとエピペン®の正しい使い方まで。万が一の時、誰もがヒーローになるための知識と手順を学びます。
1. すべては事前の備えから:誤食を防ぐ日常業務
最高の緊急時対応とは、そもそも緊急事態を発生させないことです。ヒューマンエラーを防ぐための「仕組み」を徹底します。
① 最重要書類の作成と共有
アレルギー対応は、保護者からの詳細な聞き取りに基づく「緊急時個別対応票」から始まります。この情報を全職員が「自分ごと」として毎日確認することが絶対条件です。
- 原因食物(アレルゲン)
- 出現する症状と時間
- 緊急連絡先・かかりつけ医
- エピペン®処方の有無と医師の指示
② 誤食を防ぐ3つの徹底事項
- 1完全除去と区別: 食器の色や形を変え、一目で分かる工夫をします。
- 2混入防止: 調理器具や食器の使い回しは厳禁です。
- 3成分表示確認: 市販品は必ず原材料表示を確認します。
2. 体が発するSOSサイン:アレルギー症状を正しく理解する
どの症状が危険なサインなのかを瞬時に見分ける必要があります。
【最重要】アナフィラキシーを疑う時
複数の臓器に、全身性の症状が急激に現れる危険な状態です。特に、血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックと呼びます。
「皮膚症状」 + 「呼吸器 or 消化器症状」
=
アナフィラキシーを強く疑い、即座に対応開始!
皮膚・粘膜症状
じんましん、かゆみ、目の充血、唇の腫れ
消化器症状
繰り返し吐く、激しい腹痛、下痢
呼吸器・神経症状 (最も危険なサイン)
しつこい咳、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音、声がかすれる、ぐったりして意識がもうろうとする
3. 迷わず動くための行動計画:緊急時対応フロー
パニックを防ぐ唯一の方法は、事前に定められた対応フローを、全員が体で覚えておくことです。
発見 & 応援要請
子どもの異常に気づいたら、ためらわず大声で叫び、全職員に緊急事態を知らせる。「〇〇君、アナフィラキシーかも!全員集まって!」
役割分担
リーダーが即座に指示。「Aさん救急車!」「Bさん保護者連絡!」「Cさんエピペンと対応票!」「Dさん他の子を誘導!」
エピペン®の準備と実施
対応票の指示に基づき準備。**迷う場合は、ためらわずに打つ!**
救急要請 (119番)
「食物アレルギーによるアナフィラキシーの疑いです」と明確に伝える。
救急隊への引き継ぎ
食べた物、時間、症状の経過、エピペン®を打った時間を正確に伝え、使用済みエピペン®と対応票のコピーを渡す。
4. 命を繋ぐ1本の注射:エピペン®の正しい使い方
【大原則】
Blue to the sky, Orange to the thigh.
(青は空へ、オレンジはももへ)
取り出す
ケースから本体を取り出す。
キャップを外す
青い安全キャップを真上に引き抜く。
構える
オレンジの先端を太ももの外側に当てる。
強く押し当てる
「カチッ」と音がするまで強く押し付ける。
数秒間待つ
押し付けたまま、ゆっくり3〜5秒数える。
抜いてマッサージ
抜き、注射した場所を10秒ほど軽くもむ。
ワークショップ:シミュレーション訓練
<エピペン®トレーナーによる実践>
この後の時間は、エピペン®トレーナー(針の入っていない練習用具)を使い、全員に注射の手順を体験していただきます。頭で覚えるのではなく、体が覚えるまで、繰り返し練習しましょう。
児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ
職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。
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支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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