基礎研修 第21回:保護者との信頼関係構築

保護者は最強のパートナー!信頼を育むコミュニケーション術

「保護者との会話、なんだか緊張する…」「クレームを言われたらどうしよう…」と不安に感じていませんか?保護者は、子どもの一番の専門家であり、私たちの支援に不可欠な「パートナー」です。実は、送迎時の数分間、毎日の連絡帳、そして万が一のクレーム対応という3つの場面での少しの工夫が、揺るぎない信頼関係を築く鍵になります。この記事では、具体的な会話例や書き方のテンプレートを交えながら、明日からすぐに使えるコミュニケーションの技術を分かりやすく解説します。


目次

1日の中で最も重要な数分間:送迎時の情報交換

慌ただしい送迎時のわずか数分間。しかし、この時間こそ、家庭と事業所を繋ぐ最も重要なコミュニケーションの機会です。

朝の受け入れ時:「聴く」を最優先

その日の支援に活かすための、貴重な情報収集の時間。保護者の目を見て、心と体を傾けて聴く姿勢が安心感に繋がります。

  • 機嫌: 朝の目覚めや家での様子は?
  • 睡眠: 昨夜はよく眠れていたか?
  • 食事: 朝ごはんは食べられたか?
  • 排泄: 今朝の排便はあったか?
  • その他: 何か変わったことや伝えておきたいことは?

夕方のお迎え時:「伝える」工夫

保護者に安心と喜びを届け、家庭での会話のきっかけを作る時間。魔法の言葉は「ワンプラスワン」報告です。

One Positive(一つのポジティブなエピソード)

その子のその日一番の「輝いた瞬間」を具体的に。「今日、お友達に『大丈夫?』と声をかけてあげていて、とても優しかったです。」

One Fact(一つの事実報告)

食事や排泄など、保護者が知りたい事実を簡潔に。「給食は、ハンバーグを完食でした。」

家庭と事業所を繋ぐ「交換日記」:連絡帳の書き方

連絡帳は、単なる業務報告書ではありません。子どもの成長を共に喜び、悩みを共有するための、保護者との温かいコミュニケーションツールです。


事実のみの記録(業務日報)

心を動かす記録(交換日記)
昼食:完食。ブロック遊びをした。 【事実+α】

給食のハンバーグ、とても気に入ったようで、「おいしい!」と言いながら、あっという間に完食でした!

【「きらり」と光るエピソード】

ブロック遊びでのことです。何度も崩れてしまうタワーに、前は悔しくて泣いてしまうこともありましたが、今日は「もう一回!」と言って、根気強く挑戦する姿が見られました。集中力と粘り強さが育っているなと、とても嬉しくなりました。

クレームを「信頼」に変える:初期対応の基本姿勢「3A」

保護者からのクレームは、「もっと良くしてほしい」という期待と、子どもへの深い愛情の現れです。適切な初期対応は、ピンチをより深い信頼関係を築くチャンスに変えます。

Acknowledge & Apologize

(受容と謝罪) まず相手の感情を受け止め、「ご心配をおかけしたこと」に対して真摯に謝罪します。

Active Listening

(傾聴) 相手の話を遮らず、最後まで真剣に聴きます。メモを取り、内容を繰り返して確認します。

Action & Assurance

(事実確認と行動の約束) 憶測で回答せず、「事実確認」と「報告の約束」を具体的な期限を設けて伝えます。

【実践練習】ロールプレイング

<場面設定>

夕方のお迎え時。少し怒った表情の保護者が、あなた(職員役)にこう言いました。

「昨日、うちの子が着て帰った服、違う子の服でしたよ!それに、腕にこんな引っかき傷があるのに、昨日何も報告がありませんでした。一体どうなっているんですか!」

<ミッション>

3人一組(保護者役、職員役、観察役)になり、以下のミッションに挑戦しましょう。

  • 職員役: 上記の「3A」を使って、保護者の気持ちを受け止め、適切に初期対応をしてください。
  • 観察役: 職員役の対応を、「3A」のポイントに沿ってチェックし、ロールプレイング後にフィードバックしてください。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。

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支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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