基礎研修 第23回:ICT活用の基礎

デジタルの道具を賢く使いこなす

「パソコンは少し苦手…」と感じていませんか?ICT(情報通信技術)は、私たちの業務を効率化し、支援の質を高めるための強力な「デジタルの道具」です。この道具を安全に使いこなすことは、現代の支援者にとって必須のスキル。この記事では、業務支援システムの基本から、情報漏洩を防ぐ「デジタルの鍵」、そして子どもの尊厳を守る写真の取り扱いルールまで、3つの重要な基礎を分かりやすく解説します。


目次

業務の効率と質を高める:業務支援システムの基本

業務支援システムは、私たちの仕事をスムーズにする「デジタル上の職員室」です。正しく使うことで、記録業務の負担を減らし、より多くの時間を子どもたちとの関わりに使えます。

勤怠管理

正確な勤務時間の記録は、適切な労務管理の基本。あなた自身の労働の記録であり、権利を守ることに繋がります。

  • 出退勤時に必ず打刻する
  • 打刻忘れは速やかに修正申請する

日誌・個別記録の入力

支援記録をデジタルで管理することで、職員間のリアルタイムな情報共有と、過去の記録の検索が容易になります。

  • 事実と解釈を分離して入力する
  • こまめな保存を心がける

情報を守る「デジタルの鍵」:情報セキュリティの基本

ICTの活用は、常に情報漏洩のリスクと隣り合わせです。私たちの「うっかり」が、重大な事故に繋がる可能性があります。

パスワード管理の3つの「ない」

教えない

親しい同僚でも教えない

使い回さない

システムごとに違うものに

メモしない

PCに付箋で貼るのは厳禁

あなたを騙す罠:不審なメールの見分け方

送信元アドレスが、公式なものと微妙に違う。
「緊急」「重要」など、不安を煽る件名になっている。
不自然な日本語や、文章の体裁が崩れている。
安易なリンククリックや個人情報の入力を求めてくる。

【絶対ルール】少しでも「怪しい」と思ったら、クリックせず、すぐに管理者に報告・相談!

子どもの尊厳を守るルール:著作権・肖像権の初歩

子どもたちが描いた絵や、子どもたちの笑顔の写真は、かけがえのない宝物。そして、それらは法的に保護されるべき、子ども自身の「権利」です。

著作権(ちょさくけん)

子どもが作った作品を、創った人(子ども)の許可なく、勝手に公開できない権利。

肖像権(しょうぞうけん)

自分の顔や姿を、許可なく撮影されたり、公開されたりしない権利。

【重要】許諾(同意)を得る際のポイント

「写真を使わせていただきます」という曖昧な同意では不十分です。後のトラブルを防ぎ、信頼関係を守るため、以下の点を具体的に文書で示し、保護者の理解を得る必要があります。

  • 何のために
    (使用目的)
  • どこに
    (掲載媒体)
  • いつまで
    (掲載期間)
  • どのように
    (顔出しの可否等)

【ケーススタディ】これはOK?それともNG?

以下のケースについて、OKかNGか、その理由も合わせて考えてみましょう。

ケース①

保護者から「うちの子の写真はどんどん使ってください!」と口頭で言われたので、事業所のウェブサイトのトップページに、その子の満面の笑みの写真を掲載した。

ケース②

行事で撮影した集合写真。一人の保護者から掲載NGの申し出があったため、その子の顔の部分にだけ、可愛いイラストのスタンプで加工をして、広報誌に掲載した。

ケース③

事業所の公式Instagramに、日々の活動の様子として、子どもたちの後ろ姿(顔が映っていない)の写真を投稿した。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。

こちらからダウンロードしてください。

支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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