未来の自分へ贈る「成長の地図」
これまでの研修、本当にお疲れ様でした。日々の支援の中で、たくさんの知識とスキルを学び、専門職として確実に成長してきましたね。この記事は、あなたの学びの旅の「修了式」であり、次なるステージへの「出発式」です。これまでの成長を「見える化」し、仲間と称え合い、そして未来の自分への約束となる「個別育成計画」という新しい地図を描くためのガイドです。
あなたの成長の軌跡を「見える化」しよう
日々の忙しさの中では、自分自身の成長を実感しにくいものです。このポートフォリオは、これまでの学びを具体的な項目で振り返り、あなたの成長を客観的に「見える化」するためのツールです。「できるようになったこと」を自分の言葉で書き出すことで、自信を深め、次なる目標設定への土台を築きます。
【自己評価ワーク】私の成長ポートフォリオ
以下の項目について、1年前(あるいは入職時)の自分を思い出しながら、現在の自分を評価してみましょう。そして、成長を実感できる具体的なエピソードを書き出すことで、漠然とした成長実感を、確かな自信に変えていきましょう。
評価基準: 4:自信を持ってできる / 3:意識すればできる / 2:まだ支援が必要 / 1:ほとんどできない
| 研修テーマ | 主なスキル・知識 | 自己評価 | できるようになった具体例 |
|---|---|---|---|
| 理念・倫理 | □ 理念に基づいた行動を意識できる | ||
| □ 子どもの権利を尊重した関わりができる | |||
| チームワーク | □ 適切なタイミングで「報連相」ができる | (例)A君の体調変化に気づき、すぐにリーダーに報告できた。 | |
| メンタルヘルス | □ 自分のストレスサインに気づける | ||
| 発達理解 | □ 子どもの発達段階に合わせた遊びを提供できる | (例)1歳児クラスで、探索活動を促す環境構成を工夫した。 | |
| □ ASD/ADHD等の特性を理解し、関わりを工夫できる | |||
| 生活習慣 | □ 食物アレルギーの危険性を理解し、安全な配膳ができる | ||
| □ トイレラーニングで、子どものペースを待つことができる | |||
| 安全管理 | □ ヒヤリハットを報告することの重要性を理解している | ||
| 情報管理 | □ 守秘義務を遵守し、SNS等で業務の話をしない | ||
| コミュニケーション | □ Iメッセージを使った伝え方ができる | (例)子どもを叱る代わりに「先生は悲しいな」と伝えられた。 | |
| □ 保護者の話を、傾聴の姿勢で聴くことができる | |||
| □ 記録で「事実」と「解釈」を分けて書ける |
仲間は成長を映す鏡:感謝というギフトを贈り合おう
自己評価だけでは、自分の成長の全てを捉えることはできません。自分では当たり前だと思っている行動が、実は素晴らしい強みであることも。一番近くであなたを見ている「仲間」からのフィードバックは、自分では気づけなかった成長の側面を教えてくれる貴重な贈り物(ギフト)です。
【ワーク】「仲間へのメッセージカード」
ぜひ職場の仲間と、メッセージを贈り合ってみましょう。これは評価ではなく、日頃の感謝と尊敬を伝えるポジティブなコミュニケーションです。具体的なエピソードを交えることで、相手の心に響く、温かいギフトになります。
① この1年で、あなたの〇〇なところが素晴らしいと感じました。(具体的な行動やエピソードを添えて)
(例)「私が困っている時に、何も言わなくても『大丈夫?』と声をかけてくれた優しさが、とても嬉しかったです。」
② これからも、あなたの〇〇なところを、もっと見てみたいです!(期待を伝える)
(例)「あなたの明るい笑顔は、子どもたちだけでなく、私たち職員の力にもなっています。これからも、その笑顔をたくさん見せてください!」
次なるステージへ:あなたの「学びのコンパス」
基礎研修で専門職としての「土台」を築いた今、次年度からは、その土台の上により専門的な「柱」を立てていく「実践研修」が始まります。やみくもに学ぶのではなく、これまでの自己分析で見えてきた自分の「伸びしろ」と、これから進みたい方向性を照らし合わせ、自分だけの「学びのコンパス」を設定しましょう。
<実践研修の主なテーマ(一部)>
- インクルーシブ保育の実践
- 応用行動分析(ABA)の基礎
- ソーシャルスキルトレーニング(SST)
- 保護者支援と相談技術
- ケースカンファレンスの実践
- アセスメントツールの活用
【ワークシート】次のステージへの学びのコンパス
これまでの自己分析(ポートフォリオやキャリアデザイン研修)と、上記のテーマを参考に、あなたが次年度、特に力を入れたい分野や課題(伸びしろ)を明確にすることで、実践研修での学びがより深く、意味のあるものになります。
自分との約束:「個別育成計画」を作成しよう
個別育成計画とは、これまでの全ての振り返りと課題設定を統合して作成する、「あなただけの成長計画書」であり、未来の自分への具体的な約束です。これは、組織から一方的に与えられる「指示書」ではありません。あなた自身が主体的に目標を立て、それに対して組織がどうサポートできるかを共に考える、あなたと組織との「約束の証」です。
個別育成計画の4つの構成要素
- 現在の自己評価(強みと課題):
本日のポートフォリオや、前回のキャリアデザイン研修のワークを基に、自分の言葉で「私の強みは〇〇で、課題は△△です」と明確にまとめる。 - 次年度の育成目標(1年後にどうなっていたいか):
課題を克服した先の「なりたい姿」を具体的に描く。(例)ADHDの特性がある子どもに対して、根拠に基づいた環境設定と肯定的な行動支援を、自信を持って実践できるようになる。 - 目標達成のためのアクションプラン(SMARTな短期目標):
前回の研修で学んだSMARTの原則を使い、「いつまでに、何を、どこまでやるか」を具体的で測定可能な計画に落とし込む。 - 組織に求めるサポート:
目標達成のために、組織や上司にしてほしいことを具体的に伝える。(例)応用行動分析(ABA)に関する外部研修への参加を希望します。 / 週に一度、上長との振り返りの時間(15分)を設けていただきたいです。
この計画書をたたき台として上長と面談し、あなたの主体的な成長を、組織全体で応援していきます。
児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ
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支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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