基礎研修 第25回:ここまでの学びの振り返りと目標設定






未来の自分へ贈る「成長の地図」

これまでの研修、本当にお疲れ様でした。日々の支援の中で、たくさんの知識とスキルを学び、専門職として確実に成長してきましたね。この記事は、あなたの学びの旅の「修了式」であり、次なるステージへの「出発式」です。これまでの成長を「見える化」し、仲間と称え合い、そして未来の自分への約束となる「個別育成計画」という新しい地図を描くためのガイドです。


目次

あなたの成長の軌跡を「見える化」しよう

日々の忙しさの中では、自分自身の成長を実感しにくいものです。このポートフォリオは、これまでの学びを具体的な項目で振り返り、あなたの成長を客観的に「見える化」するためのツールです。「できるようになったこと」を自分の言葉で書き出すことで、自信を深め、次なる目標設定への土台を築きます。

【自己評価ワーク】私の成長ポートフォリオ

以下の項目について、1年前(あるいは入職時)の自分を思い出しながら、現在の自分を評価してみましょう。そして、成長を実感できる具体的なエピソードを書き出すことで、漠然とした成長実感を、確かな自信に変えていきましょう。

評価基準: 4:自信を持ってできる / 3:意識すればできる / 2:まだ支援が必要 / 1:ほとんどできない

研修テーマ 主なスキル・知識 自己評価 できるようになった具体例
理念・倫理 □ 理念に基づいた行動を意識できる
□ 子どもの権利を尊重した関わりができる
チームワーク □ 適切なタイミングで「報連相」ができる (例)A君の体調変化に気づき、すぐにリーダーに報告できた。
メンタルヘルス □ 自分のストレスサインに気づける
発達理解 □ 子どもの発達段階に合わせた遊びを提供できる (例)1歳児クラスで、探索活動を促す環境構成を工夫した。
□ ASD/ADHD等の特性を理解し、関わりを工夫できる
生活習慣 □ 食物アレルギーの危険性を理解し、安全な配膳ができる
□ トイレラーニングで、子どものペースを待つことができる
安全管理 □ ヒヤリハットを報告することの重要性を理解している
情報管理 □ 守秘義務を遵守し、SNS等で業務の話をしない
コミュニケーション □ Iメッセージを使った伝え方ができる (例)子どもを叱る代わりに「先生は悲しいな」と伝えられた。
□ 保護者の話を、傾聴の姿勢で聴くことができる
□ 記録で「事実」と「解釈」を分けて書ける

仲間は成長を映す鏡:感謝というギフトを贈り合おう

自己評価だけでは、自分の成長の全てを捉えることはできません。自分では当たり前だと思っている行動が、実は素晴らしい強みであることも。一番近くであなたを見ている「仲間」からのフィードバックは、自分では気づけなかった成長の側面を教えてくれる貴重な贈り物(ギフト)です。

【ワーク】「仲間へのメッセージカード」

ぜひ職場の仲間と、メッセージを贈り合ってみましょう。これは評価ではなく、日頃の感謝と尊敬を伝えるポジティブなコミュニケーションです。具体的なエピソードを交えることで、相手の心に響く、温かいギフトになります。

① この1年で、あなたの〇〇なところが素晴らしいと感じました。(具体的な行動やエピソードを添えて)

(例)「私が困っている時に、何も言わなくても『大丈夫?』と声をかけてくれた優しさが、とても嬉しかったです。」

② これからも、あなたの〇〇なところを、もっと見てみたいです!(期待を伝える)

(例)「あなたの明るい笑顔は、子どもたちだけでなく、私たち職員の力にもなっています。これからも、その笑顔をたくさん見せてください!」

次なるステージへ:あなたの「学びのコンパス」

基礎研修で専門職としての「土台」を築いた今、次年度からは、その土台の上により専門的な「柱」を立てていく「実践研修」が始まります。やみくもに学ぶのではなく、これまでの自己分析で見えてきた自分の「伸びしろ」と、これから進みたい方向性を照らし合わせ、自分だけの「学びのコンパス」を設定しましょう。

<実践研修の主なテーマ(一部)>

  • インクルーシブ保育の実践
  • 応用行動分析(ABA)の基礎
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)
  • 保護者支援と相談技術
  • ケースカンファレンスの実践
  • アセスメントツールの活用

【ワークシート】次のステージへの学びのコンパス

これまでの自己分析(ポートフォリオやキャリアデザイン研修)と、上記のテーマを参考に、あなたが次年度、特に力を入れたい分野や課題(伸びしろ)を明確にすることで、実践研修での学びがより深く、意味のあるものになります。



自分との約束:「個別育成計画」を作成しよう

個別育成計画とは、これまでの全ての振り返りと課題設定を統合して作成する、「あなただけの成長計画書」であり、未来の自分への具体的な約束です。これは、組織から一方的に与えられる「指示書」ではありません。あなた自身が主体的に目標を立て、それに対して組織がどうサポートできるかを共に考える、あなたと組織との「約束の証」です。

個別育成計画の4つの構成要素

  1. 現在の自己評価(強みと課題):
    本日のポートフォリオや、前回のキャリアデザイン研修のワークを基に、自分の言葉で「私の強みは〇〇で、課題は△△です」と明確にまとめる。
  2. 次年度の育成目標(1年後にどうなっていたいか):
    課題を克服した先の「なりたい姿」を具体的に描く。(例)ADHDの特性がある子どもに対して、根拠に基づいた環境設定と肯定的な行動支援を、自信を持って実践できるようになる。
  3. 目標達成のためのアクションプラン(SMARTな短期目標):
    前回の研修で学んだSMARTの原則を使い、「いつまでに、何を、どこまでやるか」を具体的で測定可能な計画に落とし込む。
  4. 組織に求めるサポート:
    目標達成のために、組織や上司にしてほしいことを具体的に伝える。(例)応用行動分析(ABA)に関する外部研修への参加を希望します。 / 週に一度、上長との振り返りの時間(15分)を設けていただきたいです。

この計画書をたたき台として上長と面談し、あなたの主体的な成長を、組織全体で応援していきます。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。

こちらからダウンロードしてください。

支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次