基礎研修 第13回:安全管理とリスクマネジメント

安全管理とリスクマネジメント

「危ないからダメ!」と子どもの挑戦の芽を摘んでいませんか?子どもを無菌室に入れるのではなく、「安心して挑戦できる環境」を意図的に作ることこそ、私たちの専門性です。この記事では、事故を未然に防ぐ「リスクマネジメント」の基本サイクルから、重大事故の背景に隠れた300のサインを見つける「ヒヤリハット報告」の本当の意味、そして危険を予知する目を養う「KYT」まで、子どもの安全を「文化」として根付かせるための具体的な手法を解説します。

目次

1. はじめに:「安全」と「挑戦」を両立させる専門性

子どもの発達には、少し高いところに登ってみる、新しい遊具で遊んでみる、といった適度な挑戦が不可欠です。私たちの役割は、子どもを無リスクな環境に閉じ込めることではなく、起こりうる危険を予測し、備え、組織的に管理することで、子どもたちが「安心して挑戦できる環境」を意図的に構築することです。リスクマネジメントは、運や偶然に頼るのではなく、私たち専門職に必須のスキルです。

2. リスクマネジメントの基本サイクル

リスクマネジメントとは、単に「気をつける」といった精神論ではなく、4つのステップからなる継続的なプロセスです。

リスクマネジメント 4つのステップ

リスクの発見

危険(ハザード)を洗い出す

分析・評価

頻度と重大さで優先順位をつける

リスクへの対策

除去・低減・移転・保有を検討

共有・見直し

対策をチームで共有し、改善を続ける

3. 事故の芽を摘む「ヒヤリハット報告」

ヒヤリハットとは、「重大な事故には至らなかったものの、一歩間違えれば事故になっていた事例」のことです。これは事故を未然に防ぐための最大のヒントです。

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)

1件

重大な事故

29件

軽微な事故

300件

ヒヤリハット(事故の芽)

300件の「事故の芽」の段階で対策を講じることが、重大事故の防止に最も効果的です。

4. 「危険を予知する目」を養う:危険予知トレーニング(KYT)

KYTとは、職場のイラストなどを用いて、そこに潜む危険について話し合い、安全な行動を確認し合う訓練です。これにより、職員一人ひとりの「危険を予知する感受性」を高めることができます。

KYT 4ラウンド法

第1ラウンド(現状把握): イラストを見て、どんな状況かを説明する。「室内で自由遊びをしています」
第2ラウンド(本質追究): どんな危険が潜んでいるかを見つけ出す。「椅子から落ちて、頭を打つかもしれない」
第3ラウンド(対策樹立): 具体的な対策を考える。「すぐに駆け寄り、声をかけて椅子から降ろす」
第4ラウンド(目標設定): チームの行動目標を決める。「自由遊びの前には、必ず床や棚の上を指さし確認する」

5. 万が一の時、冷静に行動するために:事故発生時の対応

どれだけ対策を講じても、事故の発生をゼロにすることはできません。万が一の際にパニックにならず、冷静かつ迅速に行動するために、対応フローを全職員で共有しておく必要があります。

事故発生時 対応の優先順位

1

子どもの安全確保と救護

被災した子の安全確保、応急手当、応援要請と役割分担を最優先で行う。

2

関係各所への連絡

救急車(119番)要請、保護者への連絡、管理者・関係機関への報告を行う。

3

記録と他の子どもへのケア

客観的な事実を記録し、他の子どもの心のケアを行う。

グループワークで考えてみよう

<危険予知トレーニング(KYT)体験>

[ここに、室内で数人の子どもが遊び、職員が一人いるイラストを挿入。 イラストには、棚の上に不安定に置かれた物、床に転がったおもちゃ、コンセントにフォークを差し込もうとしている子など、複数の危険が描かれている]

<話し合いのポイント>

  • 現状把握: これはどんな状況ですか?
  • 危険のポイント探し: この中に潜んでいる危険を、できるだけたくさん見つけてください。
  • 対策樹立: それぞれの危険に対して、どのような対策が考えられますか?
  • 目標設定: この状況を防ぐために、私たちのチームが明日から実践する行動目標を一つ決めましょう。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

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支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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