基礎研修 第14回:感染症対策と健康管理

感染症対策と健康管理

子どもたちが集団生活を送る上で避けては通れない感染症。しかし、正しい知識という「盾」と、適切な対策という「鎧」を身につけることで、私たちは子どもたちをウイルスの脅威から守る専門職となれます。この記事では、主な感染症の特徴から、感染拡大を防ぐための具体的な消毒方法、そして最も重要な「嘔吐物処理」の鉄則までを徹底解説。子どもの「いつもと違う」サインを見逃さない観察眼を養い、子どもたちの笑顔を守り抜くための知識と技術を学びます。

目次

1. 子どもたちの笑顔を守る「見えない盾」になる

施設において感染症の発生をゼロにすることは不可能ですが、その拡大を最小限に食い止め、子どもたちの健康被害を防ぐことは、私たちの重要な責務です。感染症対策は、子どもたちの健康を守る「見えない盾」です。この盾をより強く、確実なものにするため、「敵を知り」「バリアを張り」「変化を見逃さない」という3つの要素を学び、子どもたちが安心して過ごせる環境を築きましょう。

2. 敵を知る:主な感染症の知識と対応

感染症対策の第一歩は、敵であるウイルスの特徴と、どのように体内に侵入してくるか(感染経路)を知ることです。

① 飛沫感染

咳やくしゃみの飛沫を吸い込むことで感染。
(例:インフルエンザ、風邪)

② 接触感染

ウイルスが付いた手で口や鼻を触ることで感染。
(例:ノロウイルス、手足口病)

③ 空気感染

空気中を漂うウイルスを吸い込むことで感染。
(例:麻しん、水痘)

主な感染症と登園の目安

感染症 主な症状 登園の目安
インフルエンザ 38度以上の急な発熱、頭痛、関節痛 発症後5日経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)経過するまで
感染性胃腸炎 嘔吐、下痢、腹痛 症状が治まり、普段の食事がとれること
手足口病 手のひら、足の裏、口の中の水疱 発熱や口の水疱の影響がなく、普段の食事がとれること
水痘(みずぼうそう) 全身の発疹、発熱 すべての発疹がかさぶたになるまで

※登園再開には医師の「登園許可書」が必要です。

3. バリアを張る:嘔吐物処理の鉄則

ノロウイルスなど感染性胃腸炎の嘔吐物は、不適切な処理が集団感染に直結する最も危険な感染源です。全職員が迅速かつ正確に実践できるよう、手順を徹底しましょう。

【最重要】嘔吐物処理 6つのステップ

1. 換気と隔離: すぐに窓を開け、他の子どもを別の部屋へ避難させる。
2. 防護具の装着: マスク、手袋(2枚重ね)、エプロンを装着し、自分の身を守る。
3. 静かに拭き取る: ペーパータオルで嘔吐物を覆い、外側から内側へ静かに拭き取る。
4. 消毒: 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液で広範囲を浸し、10分後に水拭きする。(※アルコール消毒は効きません)
5. 密閉して廃棄: 使用した防護具やタオルはビニール袋で二重に縛り、密閉して廃棄する。
6. 手洗い: 最後に石鹸と流水で30秒以上、念入りに手を洗う。

4. 変化を見逃さない:日々の健康観察のポイント

子どもは体調不良をうまく言葉で伝えられません。私たちが「いつもと違う」という小さなサインに気づくことが、早期発見・早期対応に繋がります。

「いつも」との比較で気づく変化のサイン

【朝の受け入れ時】

  • 機嫌は良いか
  • 顔色・表情は悪くないか
  • 皮膚に発疹はないか
  • 咳や鼻水は出ていないか

【活動中】

  • 食欲はいつも通りか
  • 活動量は低下していないか
  • 排泄物の状態は正常か
  • 体温は平熱か

リフレクション・ワーク

あなたが担当しているお子さんについて、その子の「いつも」の状態を具体的に書き出してみましょう。「いつも」を深く知ることが、「いつもと違う」に気づく第一歩です。



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