基礎研修 第15回:食物アレルギーの理解と緊急時対応

食物アレルギーの理解と緊急時対応

アナフィラキシーは、発症からわずか数分で生命を脅かすことがあります。「どうしよう…」と迷っている時間はありません。この記事は、子どもの命を救うための実践的なシミュレーションです。誤食を防ぐ日々の徹底事項から、危険なSOSサインの見分け方、そして迷わず動くための緊急時対応フローとエピペン®の正しい使い方まで。万が一の時、誰もがヒーローになるための知識と手順を学びます。

目次

1. すべては事前の備えから:誤食を防ぐ日常業務

最高の緊急時対応とは、そもそも緊急事態を発生させないことです。ヒューマンエラーを防ぐための「仕組み」を徹底します。

① 最重要書類の作成と共有

アレルギー対応は、保護者からの詳細な聞き取りに基づく「緊急時個別対応票」から始まります。この情報を全職員が「自分ごと」として毎日確認することが絶対条件です。

  • 原因食物(アレルゲン)
  • 出現する症状と時間
  • 緊急連絡先・かかりつけ医
  • エピペン®処方の有無と医師の指示

② 誤食を防ぐ3つの徹底事項

  • 1完全除去と区別: 食器の色や形を変え、一目で分かる工夫をします。
  • 2混入防止: 調理器具や食器の使い回しは厳禁です。
  • 3成分表示確認: 市販品は必ず原材料表示を確認します。

2. 体が発するSOSサイン:アレルギー症状を正しく理解する

どの症状が危険なサインなのかを瞬時に見分ける必要があります。

皮膚・粘膜症状

じんましん、かゆみ、目の充血、唇の腫れ

消化器症状

繰り返し吐く、激しい腹痛、下痢

呼吸器・神経症状 (最も危険なサイン)

しつこい咳、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音、声がかすれる、ぐったりして意識がもうろうとする

3. 迷わず動くための行動計画:緊急時対応フロー

パニックを防ぐ唯一の方法は、事前に定められた対応フローを、全員が体で覚えておくことです。

1

発見 & 応援要請

子どもの異常に気づいたら、ためらわず大声で叫び、全職員に緊急事態を知らせる。「〇〇君、アナフィラキシーかも!全員集まって!」

2

役割分担

リーダーが即座に指示。「Aさん救急車!」「Bさん保護者連絡!」「Cさんエピペンと対応票!」「Dさん他の子を誘導!」

3

エピペン®の準備と実施

対応票の指示に基づき準備。**迷う場合は、ためらわずに打つ!**

4

救急要請 (119番)

「食物アレルギーによるアナフィラキシーの疑いです」と明確に伝える。

5

救急隊への引き継ぎ

食べた物、時間、症状の経過、エピペン®を打った時間を正確に伝え、使用済みエピペン®と対応票のコピーを渡す。

4. 命を繋ぐ1本の注射:エピペン®の正しい使い方

【大原則】
Blue to the sky, Orange to the thigh.

(青は空へ、オレンジはももへ)

1

取り出す

ケースから本体を取り出す。

2

キャップを外す

青い安全キャップを真上に引き抜く。

3

構える

オレンジの先端を太ももの外側に当てる。

4

強く押し当てる

「カチッ」と音がするまで強く押し付ける。

5

数秒間待つ

押し付けたまま、ゆっくり3〜5秒数える。

6

抜いてマッサージ

抜き、注射した場所を10秒ほど軽くもむ。

ワークショップ:シミュレーション訓練

<エピペン®トレーナーによる実践>

この後の時間は、エピペン®トレーナー(針の入っていない練習用具)を使い、全員に注射の手順を体験していただきます。頭で覚えるのではなく、体が覚えるまで、繰り返し練習しましょう。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。

こちらからダウンロードしてください。

支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次