基礎研修 第11回:基本的な生活習慣の支援① 食事

基本的な生活習慣の支援① 食事

「子どもの偏食にはどう対応すればいい?」「食物アレルギーのある子に、どうすれば安全な食事を提供できるだろう?」といった悩みを抱えていませんか。実は、子どもの食事支援は「食育」「食物アレルギー対応」「偏食へのアプローチ」という3つの柱で捉えることで、すべての子供にとって食事を「安全で、楽しい時間」に変えることができます。この記事では、食べる意欲を育む食育の基本から、命を守るアレルギー対応の徹底事項、そして子どもの心に寄り添う偏食への具体的なアプローチ法まで、事例を交えながら詳しく解説します。

目次

1. はじめに:「食べる」ことは「生きる」こと、そして「楽しむ」こと

食事の時間は、単に栄養を補給するだけの時間ではありません。それは、生きる力を育み、人との繋がりを感じ、世界の豊かさを知る、一日の中でも非常に大切な学びと喜びの時間です。しかし同時に、食物アレルギーのように命に直結する危険性や、偏食のように根気強い関わりが求められる課題も存在します。この研修では、「食」を3つの側面から深く学び、すべての子どもにとって食事が「安全で、楽しい時間」となるよう、私たちの専門性を高めていきましょう。

食事支援の3つの柱

食育

食べることを好きになる、心豊かな関わり

食物アレルギー

子どもの命を絶対的に守るための、危機管理

偏食

子どものペースに寄り添う、根気強い支援

2. 食育の基本:食べる意欲と感謝の心を育む

食育とは、様々な食の経験を通して、「食」に関する知識と、健康的な食習慣を身につけ、豊かな人間性を育むことを目的としています。それは「野菜を食べさせる」といった技術論ではなく、より大きな視点での関わりです。

支援で大切にしたい食育の視点

食育

① 食べる意欲を育む

「おなかすいたね」の声かけ、自分で食べようとする意欲の尊重。

② 食事のリズムを作る

決まった時間の食事で生活リズムの基礎を作る。

③ 食事のマナーの基礎

挨拶の意味を伝え、感謝の気持ちを育む。

④ 食への興味を広げる

栽培活動やクッキング、絵本で食材に触れる。

3. 命を守る最重要課題:食物アレルギーへの対応

食物アレルギーは、対応を誤れば命に関わるアナフィラキシーショックを引き起こす可能性がある、極めて重大な問題です。「かもしれない」「たぶん大丈夫」は決して許されません。100%の安全を確保するための、徹底した知識と手順を学びます。

【補足】アナフィラキシーショックとは?

アレルゲンを摂取した後、数分から数十分以内に、じんましん、呼吸困難、嘔吐などが複数同時に、急激に現れる危険な状態です。

アレルギー対応 3つの徹底事項

  • ① 情報共有の徹底: 入所時の詳細な聞き取りと「個別のアレルギー対応指示書」の作成。全職員が確認できる場所への顔写真付き一覧表の掲示。配膳前のダブルチェック。
  • ② 原因食物の完全除去の徹底: 食器の色を変えるなどの視覚的な工夫。配膳・下膳の時間やルートを分ける。
  • ③ コンタミネーション(意図しない混入)防止の徹底: 調理器具や人の手を介してアレルゲンが混入することを防ぎます。

コンタミネーション防止のポイント

調理段階

専用の調理器具を使用し、場所や時間を分けて作る。

配膳段階

トングやスプーンなどの食器を使い回さない。

食事段階

介助の前に必ず手洗い・消毒を行う。

緊急時対応フロー

症状発見

子どもの様子(咳、発疹、嘔吐など)に異常を発見。

職員間の応援要請

大声で叫び、全職員に緊急事態を知らせる。

役割分担

管理者は指揮、救急車要請、保護者連絡など事前に定めた役割で動く。

エピペン®の準備・実施

指示書に基づき、研修を受けた職員が準備・実施する。

救急隊への引き継ぎ

食べたもの、時間、症状の経過などを正確に伝える。

4. 「食べない」に寄り添う:偏食へのアプローチ

子どもの偏食には、味覚や嗅覚の敏感さ、新しいものへの警戒心など、様々な背景があります。私たちの役割は、無理やり食べさせることではなく、子どもが安心して「ちょっと試してみようかな」と思える環境を作ることです。

偏食への5つのアプローチ法

① 調理の工夫: 型抜きで可愛い形にする、すり潰して好きなものに混ぜ込む。揚げる、焼くなど食感を変えてみる。
② スモールステップで関わる: 最終目標を「食べる」に設定せず、目標を細かく分解し、どんな小さな一歩でも具体的に褒める。
③ 楽しい雰囲気を作る: 支援者が「おいしいね!」と笑顔で食べて見せる。食事の時間を、叱責やしつけの時間にしない。
④ 繰り返し出会う機会を作る: 食べなくても、毎回少量をお皿に乗せる。何度も見ることで、食材への警戒心が薄れる。
⑤「自分で」を尊重する: バイキング形式にするなど、子どもが自分で選べる機会を作る。自分で選んだものは、食べてみようという気持ちになりやすい。

スモールステップの考え方

ゴール:一口食べる
唇につける
フォークで触る
匂いを嗅ぐ
見る

スタート:お皿に乗せる

目標を細かく分解し、「できた!」という成功体験を積み重ねることが大切です。

グループワークで考えてみよう

<事例>

今日の給食は、鶏肉の唐揚げ、ブロッコリーのサラダ、ごはん、みそ汁です。

Aちゃん

卵と乳製品に重いアレルギーがあります。

B君

野菜全般が苦手で、特にブロッコリーは見ただけで「いらない!」と言います。

<話し合いのポイント>

  • Aちゃん(アレルギー)の給食で、チームとして確認・徹底すべきことは何ですか?(コンタミネーションの視点も入れて)
  • B君(偏食)に対して、どのようなアプローチが考えられますか?「スモールステップ」を意識して、複数の関わり方を考えてみましょう。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。

こちらからダウンロードしてください。

支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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