基礎研修 第6回:乳幼児の発達① 0歳児の世界と愛着形成

基礎研修 第6回

乳幼児の発達① 0歳児の世界と愛着形成

目次

1. はじめに:人生の「土台」を築く、奇跡の1年間

生まれてから1歳までの期間は、人生の中で最も脳が発達し、人間としての「土台」が築かれる、まさに奇跡のような時間です。0歳児はまだ言葉を話せませんが、五感をフル活用して世界を学び、特定の人との深い絆を結ぶことで、生きる力の根っこを育んでいます。

この研修では、0歳児が世界をどのように感じているのかを理解し、その後の人生を支える最も重要な心の土台「愛着(アタッチメント)」を育むための、私たちの専門的な関わりについて学びます。私たちが、赤ちゃんにとっての「世界で一番安心できる翻訳家」になるための時間です。

2. 赤ちゃんは世界をどう感じている?- 感覚を通した学び

0歳児は、まだ言葉で世界を理解しません。その代わり、「見る」「聞く」「触れる」といった五感を通して、あらゆる情報を吸収し、学んでいます。私たちは、赤ちゃんの発達段階に合わせた豊かな感覚体験ができる環境を整える必要があります。

① 視覚(見る力)

生まれたばかりの視力は0.01~0.02程度。世界はぼんやり見え、白・黒・グレーのコントラストがはっきりしたものを認識しやすいです。生後2~3ヶ月頃から動くものを目で追う「追視」が始まります。

私たちができること

  • 30cm程度の距離で、目を優しく見つめながら話しかける。
  • 白黒のモビールや、はっきりした色のおもちゃを用意する。

② 聴覚(聞く力)

お腹の中にいる時から発達し、生まれた時から音を聞き分けます。特に、高めで抑揚のある優しい声(マザリーズ/ペアレンティーズ)を好みます。

私たちができること

  • 穏やかで、優しいトーンでたくさん話しかける。
  • 突然の大きな音で驚かせないよう、環境に配慮する。
  • 心地よいリズムのわらべうたや、音楽を聞かせる。

③ 触覚(触れる・触れられる力)

0歳児にとって最も重要な感覚の一つ。抱っこされたり、撫деられたりする心地よい皮膚への刺激は、安心感や愛情を伝え、脳の発達を促します。

私たちができること

  • 一つひとつのケアを、流れ作業にせず、優しく丁寧に触れる。
  • ぎゅっと抱きしめたり、ふれあい遊びを取り入れたりする。
  • 様々な素材(ガーゼ、タオル等)に触れる機会を作る。

3. 生きる力の根っこ:「愛着(アタッチメント)」を育む

愛着(アタッチメント)とは、乳幼児が、特定の人(主に養育者)との間で築く「情緒的な強い絆」のことです。これは、単なる「好き」という感情ではなく、その後の人生におけるすべての対人関係の土台となる、非常に重要な心の基盤です。

なぜ愛着は重要なのか?

安定した愛着は「自分は大切にされる存在だ」「世界は安全だ」という根源的な信頼感を育み、それが「自己肯定感」と「探索行動」の土台となります。

【豆知識】愛着形成のサイクル

応答的な関わり
愛着の形成
養育者が「安全基地」になる
子どもが安心して世界を探索
心身の健やかな発達

愛着は特別な活動ではなく、日々の「当たり前のケア」の積み重ねで育まれます。

4. 愛着を育む技術:「応答的な関わり」

安定した愛着を育む鍵が「応答的な関わり」です。これは、赤ちゃんが発するサインに「①気づき」、その意味を「②解釈し」、そして温かく、速やかに「③応える」という一連のプロセスです。

① 気づく (Notice)

赤ちゃんの小さな変化(表情、動きなど)を見逃さない観察力。

② 解釈する (Interpret)

サインの意味を赤ちゃんの立場になって考える力。

③ 応える (Respond)

解釈に基づいて、具体的で温かい行動で応えること。

このサイクルが日々繰り返される中で、赤ちゃんは「この人は私の気持ちを分かってくれる」という絶対的な信頼感を育んでいきます。

【グループワーク】(20分)

生後6ヶ月の赤ちゃんが、急に大きな声で泣き始めました。
グループで、この赤ちゃんの「泣き」というサインの背景にある理由をできるだけたくさんブレインストーミングし、それぞれにどう「応答的な関わり」ができるか話し合ってみましょう。

(例)
理由: 眠いのに眠れない → 応答: 静かな場所に移動し、優しく背中をトントンしながら子守唄を歌う。

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

職員研修にご使用いただけるように、研修用テキスト資料と講師原稿を配布しております。

こちらからダウンロードしてください。

支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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