基礎研修 第7回
乳幼児の発達② 1・2歳児の自我と探索活動
1. はじめに:「わたし」が生まれる、嵐のような成長期
0歳児期に築かれた「安心感」という土台の上で、1・2歳児は、まるで地面から芽吹いた若葉のように、「自我(じが)」、つまり「わたし」という意識を爆発的に成長させていきます。この時期の子どもは、歩き始め、言葉を話し始め、そして何よりも「自分でやりたい!」という強い欲求を持つようになります。
その姿は、時に私たち大人を困らせる「イヤイヤ期」として現れるかもしれません。しかし、これは反抗ではなく、一人の人間として自立に向かうための、非常に重要で健全な発達の証なのです。この研修では、このダイナミックな成長期の子どもの内面を理解し、その嵐のようなエネルギーを健やかな発達に繋げるための、私たちの専門的な関わり方について学んでいきましょう。
2. 世界が広がる!歩行の開始と「自分でやりたい!」
一人で歩けるようになることは、1歳児の発達における革命的な出来事です。これまで見えていた世界が一変し、自分の意思で、好きな場所へ、好きなものへと向かっていけるようになります。この移動能力の獲得が、子どもの「探索活動」への意欲をさらに加速させます。
【解説】探索活動とは?
子どもが、身の回りのあらゆるものに興味を持ち、「これは何だろう?」と、触ったり、叩いたり、口に入れたりしながら、その性質や仕組みを五感で学んでいく活動です。この時期の子どもにとって、世界は巨大な実験室であり、遊びと学びは完全に一体です。
私たちに求められる2つの重要な役割
① 安心・安全な「実験室」を保障する役割
子どもの「やってみたい」を尊重するためには、まず「ここでなら失敗しても大丈夫」という安全な環境が不可欠です。(誤飲の危険物、家具の角、コンセント等への配慮)
② 「自分でやりたい」という気持ちを最大限に尊重する役割
「自律性」の芽生えです。大人が先回りしすぎず、時間がかかっても「待つ」姿勢が、子どもの挑戦する意欲を育てます。(食事、着替えなど)
3. 「イヤ!」の嵐のその先へ:第一次反抗期(イヤイヤ期)の理解
「イヤイヤ期」は、子どもの「自我」が順調に育っている健全な発達の証です。いわば、「“わたし”という人間の独立宣言」なのです。
なぜ「イヤ!」と言うの?3つの背景
イヤイヤ期を乗り切るための関わりのヒント
- まずは気持ちに共感する: 「そっか、まだ帰りたくなかったんだね」と、まずは子どもの気持ちを言葉にして受け止める。
- 子どもに選択肢を与える: 「赤い服と青い服、どっちを着る?」と、子どもが自分で選べる選択肢を提示する。
- 気持ちを代弁する: 「ブロックが崩れて、悔しかったんだね」と、本人が言葉にできない気持ちを代弁する。
- 見通しを立てる: 「時計の針が『6』に来たらお片付けしようね」と、終わりの見通しを伝える。
- 時には気分転換も: 全く違う遊びに誘ったり、歌を歌ったりして、注意をそらし気分を切り替える手助けをする。
4. 言葉の爆発期:言葉の発達と豊かな関わり
1歳半前後から、子どもの言葉は爆発的に増えていきます。ここで重要なのは、言葉を話す「表出言語」よりも、言葉を理解する「受信言語」の方が、常に先に発達するということです。話せなくても、大人の言葉をたくさん理解し、心の中に「言葉の貯金箱」をいっぱいにしている時期なのです。
一語文(1歳~1歳半頃)
「ワンワン」「ブーブー」など、一つの単語で要求や感情を表現。
二語文(1歳半~2歳頃)
「ママ、いた」「ワンワン、いた」など、2つの単語を繋げて表現。
子どもの「言葉の貯金箱」を豊かにする関わり方
実況中継のように話しかける: 「青いブロックを積んでるね」と、子どもが見ているものや、やっていることを、そのまま言葉にしてあげる。
子どもの言葉を広げる(拡大応答): 子どもが「ワンワン」と言ったら、「そうだね、白いワンワンが歩いているね」と、少し情報を付け加えて返す。
絵本の読み聞かせ: 物語の世界を楽しむだけでなく、擬音語や擬態語を一緒に楽しむことで、言葉への興味が深まる。
【グループワーク】(20分)
事例: 2歳のF君。公園に遊びに行く時間ですが、帽子をかぶるのを「イヤ!」と言って、帽子を床に投げてしまいました。
<話し合いのポイント>
この状況で、あなたはF君にどのように関わりますか?本日の研修で学んだ「イヤイヤ期の関わりのヒント」を参考に、複数の具体的な対応方法(声かけや行動)をグループで考えてみましょう。
児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ
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