【基礎編】第11回 集団支援の設計図:子どもたちが輝く舞台をデザインする方法

集団支援の設計図

効果的な集団療育は、当日の頑張りではなく、周到な「準備」で9割が決まります。子どもたちが輝くための舞台をデザインする方法を学びましょう。

目次

はじめに:個別支援から集団支援へ

これまで私たちは、主に子ども一人ひとりと向き合う個別支援の技術を学んできました。しかし、子どもたちが将来生活していくのは、家庭、園、学校、地域といった「集団」の場です。

集団療育の目的は、単に複数の子どもを同時に見ることではありません。集団だからこそできる学び、例えば、他者とのやりとり、ルールの理解、模倣学習、順番待ちなどを、意図的・計画的に提供する場です。

しかし、集団の中には、発達段階も、得意なことも、苦手なことも、支援の目標も異なる子どもたちが同時に存在します。この複雑な状況を成功に導く鍵は、支援者の「勘」や「当日の頑張り」に頼るのではなく、ABAの原理に基づいた周到な「プログラム立案(プランニング)」にあります。効果的な集団療育は、活動が始まる前の準備で9割が決まります。

計画の第一歩:2つの視点(ねらい)を持つ

優れた集団療育プログラムは、常に「集団全体」と「個々の子ども」という二つの視点を持っています。一つの活動の中に、この二つのねらいを明確に設定することが、計画の第一歩です。

① 集団のねらい

その活動を通して、
グループ全体に達成してほしい共通の目標。

例:「順番を待つ楽しさを経験する」

② 個別のねらい

その活動の中で、
一人ひとりの子どもが取り組む具体的な目標。

例:「2語文で要求を伝える」

計画立案の具体例:『フルーツバスケット』

同じフルーツバスケットという一つの活動でも、参加する子どもによって「成功」の基準は異なります。

1つの活動:フルーツバスケット

集団のねらい

ルールを聞き取り、他者との距離感を意識しながら素早く動く。集団ゲームの一体感を楽しむ。

Aくんの個別ねらい

目標:2語文での要求
鬼になった時、支援者のヒントを元に「〇〇さん、どうぞ」と機能的な言葉で発信する。

Bさんの個別ねらい

目標:着席の維持
刺激の多い場面でも、自分の番が来るまで席を離れずに参加し続ける。

Cちゃんの個別ねらい

目標:他児の模倣
席を移動する時、他の子の動きを意識的に見て、それを真似て動く練習をする。

成功のための事前準備:先行事象(A)の工夫

問題行動は、起きないように環境を整えることが最も効果的です。子どもたちが最高のパフォーマンスを発揮できる舞台を準備しましょう。

① 活動の構造化

絵カードなどで活動の流れや手順を示し、「次は何?」という不安をなくし、見通しを持たせる。

② 物理的な環境設定

集中しやすい座席配置を考え、必要な教材はすぐに取り出せるように準備しておく。

③ ルールの明確化

ルールは3つ程度に絞り、「〜しない」ではなく「〜しよう」という肯定的な言葉で、視覚的に提示する。

集団を動かす「強化」の仕組み

個々の望ましい行動を褒めることに加え、集団ならではの「グループ強化」で一体感を育みましょう。

具体例:お星さまポスター

目標を設定

良い行動でシールGET

目標達成!

みんなでご褒美

個人の頑張りがチーム全体の報酬に繋がるため、「みんなで頑張ろう!」という一体感や、子ども同士で褒め合うなどのポジティブな相互作用が生まれやすくなります。

【グループワーク】集団療育プログラムを立案してみよう!

【お題】活動内容:『新聞紙を使ったビリビリ遊び』

計画してみよう

この活動について、以下の4点をグループで計画してみてください。

  1. 集団のねらい(例:感覚遊びを楽しむ、など)
  2. 個別のねらい(発語を促したい子、着席を目標にする子、など自由に設定)
  3. 先行事象の工夫(どんなルールや環境設定をしますか?)
  4. 強化の計画(どんなグループ強化ができそうですか?)

私たちの仕事は、行き当たりばったりの対応ではなく、科学的根拠に基づいた緻密な計画の連続です。丁寧な準備で、子どもたちの学びと成長を最大限に引き出しましょう。

NPO法人世田谷スポ・レクネット

児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所の方へ

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支援の質向上にお役に立てれば幸いです。

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